古くから受け継がれてきた文様には、どこか心なごむ独特の趣があり、またそれぞれに深い意味合いがあります。ここでは、代表的な文様とその解説、そしてふすま全体に配した際のイメージがご覧いただけます。タブのクリックで画面が切り替わります。
四州を海で囲まれた我が国では、波の観察にも細やかな視線が感ぜられます。波がしらの砕ける寸前に、移り行く季節の息吹をとらえるといった、言わば「はなれわざ」は日本人の繊細な神経の得意技なのかもしれません。
天保十二年の「用捨箱」には、「昔より目篭は鬼のおそるるといひならはせり」とあり、また戸口に篭を吊して邪気をはらい、災厄をまぬがれるとあります。幼児のお宮参りに篭目のざるをかぶせた犬張子を贈る習わしも、魔除けとして子どもの無事息災を祈る親心であったのでしょう。
雅楽の「青海波」は、舞楽の中でもっとも華麗で優美な名曲とされ、舞人は四段に重ねた波形を描いた文様の装束を身にまといます。大陸から伝来した鱗紋ですが、穏やかな青海原にたゆたう波に似ているので、わが国ではこの名を用いています。
文様のひろがりはどちらの方向にも限りなく延びて縁起がよいということで、「四方」「十方」などと呼ばれたのが訛って「七宝」とも呼ばれるようになりました。平安時代には宮廷や貴族の衣類や、調度の有職文様としても使われ、当時のからかみに木版で摺られたものも現存しています。
市松の文様は敷石に由来します。古人は霰(あられ)とも呼び、能装束や建築装飾に使われました。江戸時代に、中村座の歌舞伎俳優佐野川市松がこの文様を付けた裃の舞台姿が評判となり、喝采を浴びたと伝えられています。
千本丁字のたおやかさとは逆に、男性的な力強さを与えてくれます。収録した丁字の中ではもっとも太く、雲母や胡粉の色使いなどによって、さまざまな表情が大胆に変化する意匠です。
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